6気付きたくない恋心

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 週末の夜は嫌い。 私の男じゃなく、家族のパパになってしまう部長が憎い。 ね? どんな顔して、家族と過ごしているの? 考えたくないのに、毎週想像してしまう。 だから、私はお酒に逃げた。 一人で飲んでいても、寂しさも虚しさもいっこうに埋まらない。 携帯のアドレスを開くと、ア行ですぐに手が止まった。 今、仕事してるのかな? そんな疑問を抱えつつも、電話をしてみた。 コール数回で、元気な彼の声が耳に届く。 『もっしー、里緒から電話ってめずらしいね♪』 にぎやかな電話の向こう側。 そして楽しそうな嵐の声。 「んー、一人で淋しかったんだけど、嵐なんか急がしそうだからいいや、またね」 別に、彼じゃなくてもいい。 『え?ちょ待って』 あわてる彼をよそに、私は電話を切って再びアドレスを開く。  不倫を始めて5年。 淋しい時は他の男で紛らわす。 だから、アドレスにはたくさんの名前があった。 寂しさを紛らわすんだから、誰でもいいはずなのに、手が動かない。 思ったより、私の心に嵐は進入していた事に初めて気がついた。 出会ってから、まだそんなに時間は流れていない。 でも、彼の笑顔や、真っ直ぐさが私にはまぶしかった。 ただ、まぶしすぎて、目がくらんでしまっているだけだよね?
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