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そう自分に言い聞かすように、何本目かのビールに手を伸ばした時、携帯
が鳴った。
液晶を見ると【嵐】
「どうかした?」
『どうかって、さっきの電話、何?』
「あー、うん。ごめんね?
ちょっと淋しかっただけ、でも大丈夫だから嵐は嵐で楽しんでてね」
『……今から行くわ』
「あー、大丈夫、ホントに!」
誰でもいいはずなんだ。
だから、彼を遊びからココに来させるわけにはいかない。
嵐の都合だってある。
だけど、ホントは来て欲しい。
そして、抱きしめてもらいたい。
この寂しさから救われたかった。
『行くから』
強引にそう言って、電話を切った嵐に、やっぱりすごく嬉しく思う自分がいた。
私は、悲しみと立ち向かうことを忘れた。
いつの間にか覚えた、誰かに頼ることがあんまりにも楽で。
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