6気付きたくない恋心

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すでに酔いが回った頃、嵐が部屋に入って来た。 「淋しいから、オレに電話してくれたんだ?」 なぜだかニコニコ笑顔の嵐。 少し恥ずかしくて目をそらしながら私はうなづいた。 まぶしすぎて、目がくらむ。 「なんかすっげぇうれしー」 そう言いながら、私が差し出したビールを手に取る。 グビグビと豪快に飲みながら、私の寂しさを紛らわそうと、くだらないどうでもいいお喋りをたくさんしてくれた。  私は嵐の会話に笑い、お酒を飲みながらも寂しさが消えていない。 そして、嵐の会話が途切れた時、二人の視線が絡まる。 アルコールの勢いもある、それに淋しいと理由をつけて呼び出した女。その呼び出しに答える男。 そりゃ、もういきつく先はソレしかない。 嵐の首に自分の腕を絡めて、濡れた瞳で彼の目を見つめる。 「……嵐」 早く、寂しさを埋めて? そんな願いを込めて目を閉じると、優しいキスが頬に、唇に落ちてくる。 「ベッド、行こっか」 ニコリと場違いな笑顔の嵐。 なんで、こんな時に爽やかさを全面に押し出す? 多分、スマイルの使い方間違ってるよ。 そう思うと、なんだか自然と笑いがこみ上げて来た。 「何笑ってんだよ」 「クスクス、ごめん」 嵐に手を引かれてベッドに寝ると、自然と上に乗る嵐。 手慣れてる。 簡単に服を脱がされて、私は快楽へと導かれた。 もっと、激しく私を狂わして? 何もかも忘れるくらいの官能を頂戴。 思考回路が壊れるくらいの、しびれる衝動。  嵐が動くたびに、私の体が揺れる。 もっと揺れて揺れて、乱されたい。 心の奥底まで、乱してよ。 願いは尽きることなく、何度も何度も私は嵐を欲しがった。 膨れあがる欲情は、さらなる快感を求めて、私の体は何度も男を受け入れる。 淋しかったはずの心が、快楽だけで満たされていく。
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