6気付きたくない恋心

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「里緒ってさ、、」 なんだか歯切れ悪そうに、そして、ちょっと不機嫌を表した嵐の声に、私は耳を傾ける。 「何?」 腕枕をしたまま、私を見つめる嵐。 「……最中に、どっか遠くを見つめるの癖?」 え? 「そんな目、してる?」 「してる。 超しらけそうになるもん、てか一瞬萎える」 「……ごめん、今度があるなら気を付けるよ」 私と嵐の関係に、確かな約束なんてない。 だから、今度なんてあるかわからない。 「別にいいよ、無意識なら仕方ねぇし。 それより、なんだよ今度があるならって、オレともう会いたくないって意味?」 ………。 前から思っていた。 嵐って、直球ストレートど真ん中だよね。 普通、言葉に含まれた意味をくみ取って、わざわざ聞いたりしないよ。 「まさか! 嵐がイヤじゃなければ、また遊んで下さい」 その返事が気に入ったのか、満面の笑みでうなづく嵐に、私までつられて微笑んでしまった。 なんだか心が温かい。 久しぶりだね、こんな気持ち。 「じゃあ、明日も来るね♪」 え? 「いきなり?」 「予定ある?」 「ない」 「じゃあいいじゃん、オレちょっと仕事あるから遅くなるけどメールする」 「…うん」 すっごい展開の読めない男の子です。 だけど、すんなりと心に入ってくる直球な言葉は、うれしくて。 明日を約束できたことがうれしくて。 私の顔は緩んでしまう。 誰かと未来を約束することが、こんなに幸せだなんて、もう忘れていたよ。 「じゃあ、次の約束もしたことだし、寝るべ?」 「そうだね」 激しく消耗した体力と、明日への安心感もあって、私は久しぶりにぐっすりと眠った。 嵐が隣にいる。そして明日も来てくれる。 私は一人で過ごさなくていい。 それは、嵐だからできたことだった。 だけど、否定したい私は無理矢理に言い聞かす。 ‘嵐じゃなくても、隣に誰かがいてくれるだけでいいんだ’と。
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