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その夜は、優しく里緒を抱いた。
3回目のSEX。
初めては、とりあえず抱いた。
2回目は、里緒が求めるまま抱いた。
3回目は、オレの意志ですごく丁寧に抱きたかった。
‘好き’が苦しいモノだと教えられたオレは、まだ里緒に対するこの気持ちがどんなものかわかってなかったんだ。
だけど、毎日会いたくなるし、電話で声だけでも聞きたい。
少しでも、里緒に近づきたい。
そんなことばかり思っていた。
仕事だからと会うことを断られたオレは、すっげぇ暇になったので瞬に遊んでもらうことにした。
「で、嵐は里緒の事好きなわけ?」
「まっさか!里緒の事考えて苦しくなんねぇもん。
何だかワクワクしてさ、心の中がほんわり暖かくなるんだよ、だから好きじゃないね」
「……お前って、ホントバカだな」
ため息混じりの瞬の発言。
そんなしんみりバカと言わなくても。
いくらオレでも凹むんですけど?
「うるせーよ」
「で、今日は里緒に相手されないからオレ?」
「そ♪」
「里緒を好きじゃないならさ、他の女でも探しに行く?」
他の女?
「んー、そんな気分じゃねぇや」
何でだろ?
今までは軽くクラブでナンパしてた。
言い寄って来る女を拒むこともなかった。
でも、何でだろう。
女遊びがしたいと思わない。
他の女と過ごすなら、里緒と一緒に過ごしたい。
「…まだ気づかないわけ?
お前、惚れてるんだよ。
確実にその里緒って女に惚れてる」
へ?
瞬の発言にオレは戸惑った。
「オレが、里緒に?」
「そうだろ。何を勘違いしてるか知らねぇけど、誰かを好きになるのって、苦しいだけじゃねぇよ。そんなだったら世の中誰も恋なんてしてないよ」
………。
でも、里緒は苦しくなるって……。
「オレ、里緒が好き?」
「そんなに自覚ないんだ?
だったら、嵐が苦しくなるような事言ってやるよ。
その女、お前を拉致ったんだろ?
面識もない男を拉致る女って、相当遊んでるんじゃね?
しかも、抵抗なくお前に抱かれた。
結構軽い女じゃん」
瞬はオレをよく理解してると思うよ。
ずっと一緒にいたし、オレの女関係だって全部知ってる。
だから、オレを苦しくさせるって予想通り、オレの胸はギュッと締め付けられた。
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