7恋の悩み

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 だけど、里緒。 苦しいよ。 この苦しいこそが、里緒を好きって事なんだね。  好きだと気づいたら、急に苦しくなったよ。 里緒と知り合ったいきさつも、里緒を抱いたことさえも、苦しいんだ。 なんで、簡単にオレに抱かれたの? もっと、抵抗してくれたらよかったのに。 「オレ、最悪」 軽い女だとわかっても、里緒を好きって思いは止まらない。 「そうか?お前が今まで女にして来たことと、大差ないんじゃね?」 「……」 返す言葉もねぇよ。 その通りだよ、オレは今まで適当に女食って、それで寂しさから逃げていた。 あれ? 「もしかして里緒も、淋しいから男遊びしてるのかな?」 もしそうなら、その寂しさをオレが紛らわしてあげることはできない? 「知らねーよ、お前はそうだったの?」 「……瞬は違うの?」 「オレは、ただの欲求不満だよ」 た、頼む瞬。 そのアイドル顔で欲求不満だなんて言わないで下さい。 「イメージが………」 「何を今さら!」 瞬はケラケラ笑いながら欲求不満と言い続けた。 オレはソレを聞かないように耳を塞ぎながら笑ってたんだ。  恋をしてる。 その事実が、心をあったかくさせて、ホントは幸せなんだと思う。 意味もなく、いろんな女抱いてたよりも、一人だけを思い、心に抱く方が、ずっと満たされるんだな。 それが、苦しい恋でも、例え苦しい恋でも、ずっとずっと幸せだよ。 だから、里緒もオレが幸せにしてあげたい。 そう思ったんだ。 淋しいなら、オレを呼んで? 前みたいに、すぐに駆けつけるから、だから寂しい夜は、迷わずにオレに連絡を頂戴。  それから、オレは暇を見つけては里緒にメールをした。 時間が合えば電話だってしたよ。 少しでも、里緒の寂しさが紛れるならって思っていたんだ。 でも、里緒の寂しさって、そんな簡単じゃなかったね――――。
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