昔々の

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 ゆらりゆらり、灯が踊る。 『くすくす』 『くすくす』  夢を見ました。  小さな笑い声が響く夢。 『………』  そこは幸せが満ちていて、心が暖かくなる―――そんな場所だった気がするのです。 『…君は』  その声を最後に、夢は色を無くして――――― 「―――夢?」  目が覚めれば私が暮らす家のベッド。  あの夢は何だったんでしょう。 「…って、もうこんな時間ですか!?」  ふと時計を見れば時間は8:50。  完璧に遅刻する時間。  私は慌てて服を着替え始めました―――。 「おはようございますっ!」  教室に着けば担任の先生から呆れた様に注意され。 「おー、北原。お前はまた遅刻かー、あんまり遅くまで起きてんなよー」  怠そうに、でも心配する様に言葉を発する葛木先生に笑みがこぼれる。  何だかんだ言って優しい先生だから。 「はい、気をつけます」  いつも通りのやり取りを交わし、席に着けば隣の席の志荻ちゃんにこっそりと話し掛けられます。 「剴兎(キルト)ったらまた寝てたんだ?貴女らしいって言ったら貴女らしいけど」  にゃは、と可愛らしく笑う志荻ちゃん。  ちょっと毒舌な私の親友。 「今日はちょっとやらなきゃいけない事があったので…」  苦笑しつつそう返せば溜息をつかれ。 「頑張り過ぎな気もするけどね?」  そう目が笑ってない状態で言われました。 「まあ、良いわ。今日はワタシが家に泊まりに行くし」  志荻ちゃんはそう言って髪をぐしゃぐしゃと撫でまわしてきました。 「…そこ二人、暫く外に立ってろー」  葛木先生に見付かって立たされるまでは。
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