8/16 合宿2日目

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  静かな波の音と、ラジオから流れる名前も知らない曲が2人の間に流れていた。 「んー。そろそろ、行かなきゃかな」 カヤは上体を起こし、背筋を伸ばした。 時刻は4時近くなり、東の空はまた明るくなってきていた。 そういえば、俺も今日はエリカ先輩に合いに行くんだったな……… 「俺も、そろそろ行くよ」 俺も起き上がった。 「明日も会える?」 昨日と同じ質問。同じ声。同じ顔。 「俺は、またここに来るよ」 「うん。私も来るね」 同じ笑顔。 カヤは立ち上がり、いきなり俺の額にキスをした。 「おやすみ。光君」 俺はびっくりして、声が出なかった。 なんとか「おやすみ」とは伝えたと思うが、俺自身は上の空だった。 そんな俺を見て、くすっ。と笑ってカヤは走って行った。 カヤの背中を見送りながら、俺はカヤの唇が触れた場所を、髪の毛と一緒に押さえていた。 「っ…………な、なんなんだよ……いきなり」 俺は髪をかきあげ、足を丸め顔を埋めた。 しばらくそうしてると、ラジオから4時の知らせが届いた。 それをきっかけにして、俺は後片付けをはじめ、来た時と同じように荷物を担いで帰った。 別荘へ着くと、他の観察者も帰って来たみたいで、ホールには何人かの人がいた。 俺は望遠鏡を機材部屋へ置くと、すぐさま自分の布団に潜り込んだ。 まだ、全ての神経が額に集中しているようで、なかなか寝付けなかった。 早く寝なくちゃ……… そんな感情だけが空回りして、頭の中は先程のキスに支配されていた。
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