Vol.4

16/17
前へ
/116ページ
次へ
「ねぇ、これなんかどう?」 そう言って私が指指したのは、私のマンションに近い新築の2LDKのマンション。 慎「いや…ここは私一人で住むには広すぎます。せめて1LDKくらいが…」 その言葉を聞いた従業員が、一枚の紙を差し出して言った。 従「この住所のそばで1LDKでしたら、こちらはどうでしょう?去年の暮れに完成したばかりて………」 などなど、熱心に説明をする従業員に、慎吾は黙って耳を傾けていたが、突然立ち上がるといきなり口を開いた。 慎「ここにします」 慎吾がそう答えた物件は、私のマンションから一分ほど歩いた場所にあり、慎吾の希望どおりの部屋だった。 「ほんとにここでいいの?」 慎「はい。なにかあったらすぐに駆けつけますから」 そう言って慎吾は笑うけど、実際何も起こらないと思うよ… それから、契約書を記入して私たちは店を後にした。 「入居できるのは一週間後って言ってたっけ?」 慎「はい。それまでは会社のそばのホテルにでも泊まりますよ」 「別にホテルなんか行かなくても、うち部屋余ってるよ?」 そう言う私に向けられる慎吾の目が怖い。マジで怖い。 「もう、分かったよ。もう言わないし。ホテルの領収書ちゃんと貰ってきてよ」 そう言って、私は慎吾の車へと向かって歩いた。
/116ページ

最初のコメントを投稿しよう!

6076人が本棚に入れています
本棚に追加