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「ねぇ、これなんかどう?」
そう言って私が指指したのは、私のマンションに近い新築の2LDKのマンション。
慎「いや…ここは私一人で住むには広すぎます。せめて1LDKくらいが…」
その言葉を聞いた従業員が、一枚の紙を差し出して言った。
従「この住所のそばで1LDKでしたら、こちらはどうでしょう?去年の暮れに完成したばかりて………」
などなど、熱心に説明をする従業員に、慎吾は黙って耳を傾けていたが、突然立ち上がるといきなり口を開いた。
慎「ここにします」
慎吾がそう答えた物件は、私のマンションから一分ほど歩いた場所にあり、慎吾の希望どおりの部屋だった。
「ほんとにここでいいの?」
慎「はい。なにかあったらすぐに駆けつけますから」
そう言って慎吾は笑うけど、実際何も起こらないと思うよ…
それから、契約書を記入して私たちは店を後にした。
「入居できるのは一週間後って言ってたっけ?」
慎「はい。それまでは会社のそばのホテルにでも泊まりますよ」
「別にホテルなんか行かなくても、うち部屋余ってるよ?」
そう言う私に向けられる慎吾の目が怖い。マジで怖い。
「もう、分かったよ。もう言わないし。ホテルの領収書ちゃんと貰ってきてよ」
そう言って、私は慎吾の車へと向かって歩いた。
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