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ピンポーン…
聖がいなくなって一時間ほどしたころ、部屋のインターホンが鳴った。
見るとモニターに由紀と浬が映っている。
私が玄関を開けると、両手に買い物袋を抱えた二人が立っていた。
「いらっしゃい。上がって…」
「おじゃましまーす!!ほんといつ来てもいいとこ住んでるよね~。私も引っ越して来たいわ~」
「はは。ここの家賃は半端じゃないからな~」
そう言う聖の顔はどこか引きつって見える。
「そうなの?」
由紀はそう言って私を見た。
「そうなの?」
私はそのまま浬を見る。
「そうなの?ってお前、自分とこの家賃知らないのか?」
「うん。ここ契約したの朔夜だし、家賃も朔夜が払ってる…」
「マジか…まぁ、半端な額じゃないしな…聞かないほうがいいぞ」
「そうかも…借りたのが朔夜だからね…あの根っからの坊っちゃん体質は…金銭感覚おかしいし…」
「まぁ、この場所で、これだけの物件が安いわけないしね…私も聞かない事にしよう…」
そう言って私たちは未だ玄関で立ち話をしていた事に気がついた。
「つか、移動しようか?いつまでもこんなとこで話してるわけにもいかないし…」
「いや、俺はこれ置いたら帰るよ。俺、由紀を送ってきただけだし…」
そう言って、私たちと一緒にリビングへ向かった浬は持っていた荷物を置くと、再び玄関へと向かって歩いていく。
「え?せっかく来たんだから、ゆっくりしてけばいいのに…」
「いいから。じゃ、由紀頼むな」
そう言って浬は帰って行った。
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