Vol.1

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ピンポーン… 聖がいなくなって一時間ほどしたころ、部屋のインターホンが鳴った。 見るとモニターに由紀と浬が映っている。 私が玄関を開けると、両手に買い物袋を抱えた二人が立っていた。 「いらっしゃい。上がって…」 「おじゃましまーす!!ほんといつ来てもいいとこ住んでるよね~。私も引っ越して来たいわ~」 「はは。ここの家賃は半端じゃないからな~」 そう言う聖の顔はどこか引きつって見える。 「そうなの?」 由紀はそう言って私を見た。 「そうなの?」 私はそのまま浬を見る。 「そうなの?ってお前、自分とこの家賃知らないのか?」 「うん。ここ契約したの朔夜だし、家賃も朔夜が払ってる…」 「マジか…まぁ、半端な額じゃないしな…聞かないほうがいいぞ」 「そうかも…借りたのが朔夜だからね…あの根っからの坊っちゃん体質は…金銭感覚おかしいし…」 「まぁ、この場所で、これだけの物件が安いわけないしね…私も聞かない事にしよう…」 そう言って私たちは未だ玄関で立ち話をしていた事に気がついた。 「つか、移動しようか?いつまでもこんなとこで話してるわけにもいかないし…」 「いや、俺はこれ置いたら帰るよ。俺、由紀を送ってきただけだし…」 そう言って、私たちと一緒にリビングへ向かった浬は持っていた荷物を置くと、再び玄関へと向かって歩いていく。 「え?せっかく来たんだから、ゆっくりしてけばいいのに…」 「いいから。じゃ、由紀頼むな」 そう言って浬は帰って行った。
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