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「でも、なんでそんな事聞くんだ?」
「いや今日、知らない女にいきなり叩かれてさ~私の彼氏に手ぇ出さないで!って言われたんだよ」
「はぁ?なんだ、それ?俺、浮気なんかしてないぞ?」
驚き半分怒り半分な顔で私に言う聖。私が疑っているように聞こえてしまったのだろうか?
「分かってるよ。ただ聞いてみただけだし…多分人違いじゃないかな。まったく…迷惑な話だよね~」
私はそう言うと、聖の手伝いをするために聖の隣立つ。
「確かに迷惑だし、ふざけた女がいるもんだな。叩かれたとこ、大丈夫か?」
どうやら、聖の怒りの矛先はあの正体不明の女だった様だ。その証拠に私を心配する表情も、頬に触れる指先もとても優しいものだった。
「このくらい平気」
そう言って、笑顔を見せると、聖はホッとしたような顔でほほ笑んだ。
「もし、何かあったらすぐに言えよ?」
「うん。ありがとう」
「で?まだ何かあるだろう?」
聖は私の目線に合わせて私の顔を見た。
どうして聖には何でもお見通しなんだろう…
「別に、たいした事じゃないんだけど、なんか今日の事が気になって…」
「今日の事って、その女の事か?」
「うん…」
そう言って私が俯くと、聖は更に腰を屈めて私の顔を覗き込んだ。
「心配しなくても、俺はお前だけだぞ?」
「うん。そういうんじゃなくて、なんかうまく言えないけど、嫌な予感がするんだよね…」
私は聖の言葉を嬉しく思いながらも、話した。
「嫌な予感か…でも、気のせいかもしれないし、あまり思い詰めないほうがいいぞ」
聖はそう言いながらも、その横顔は真剣に何かを考えているようだった。
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