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外は澄み渡るような青空が広がっている。その空の下に、フィレスの国が広がっている。フィレスはこの世界の中心に位置する。その国は、自然が広がりまたその自然が、天然の要塞となっている。即ち、北に行けば東から西にかけた大河があり、西に行けば大海原が無限の如く地平線まで伸び、東に目を転じれば険しい山間が続き、南は果てしない平原が広がっている。
一見してみれば豊かな国だが、今この国はある問題を抱えている。
「それが、格差問題だ」
シーフは城下町に向かう最中に、マリアにフィレスの問題を指摘した。格差とは言ってみれば貧富の差のことである。人が働き、金を得る以上差が出てしまうのは仕方がない事だが、この国は特に悪い。しかも少しずつ広がりつつある。
「シーフはフィレスの為に動いてるのですか?」
マリアはシーフに聞いた。最初、マリアはシーフをどのように呼ぼうか迷った。散々迷ったあげく本人に聞いた。するとシーフは、
「好きに呼べばいい」
と言った。
それなら、とマリアはシーフと呼ぶ事にした。同じ年にさん付けするのは、なんだかおかしい気がした。残念ながら、敬語口調は治りそうにない。
「フィレスの為か…あながち間違いじゃないな」
シーフは答えた。彼等は派手過ぎず、地味でもない服装をしている。これなら、街中を歩いてもさほど怪しまれない。マリアも同じような服に着替えている。執政の一人娘が、盗賊と一緒にいるとなると大変な騒ぎになるだろう。しばらく歩くと城壁が見えてきた。門の前には二人の兵士が立っている。
「何者だ?」
兵士の一人が近寄って来た。怪しい輩か見るためだろう。
「中に入りたいんだが…」
シーフは兵士の言葉を無視するように言った。兵士はムッ、としたが、
「通行証は?」
とシーフに聞いた。七達は黙ったままである。おそらくシーフを信頼してるのだろう。因みに、壱はやる事があると言って洞窟に残った。
「通行証はないが…」
シーフは小さな袋を取り出し、
「これで勘弁してくれ」
と兵士に渡した。兵士は黙ったままそれを受け取ると、顎をしゃくった。早く行けと言う意味だろう。
「さっきのは何だったのですか?」
門を通りすぎた時、マリアがシーフに聞いた。シーフは、
「つまらない仕事をしてる奴ほど、金を欲しがるものだ」
と言った。
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