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東門を抜けると、道を挟み家並みが並んでいる。東から西に抜けている、この道を中心に必需品から雑貨までと店が広がっている。
「昼になったら東門に集合」
シーフはそれだけを言うと、さっさと歩き出した。各々で自由解散らしい。
「皆さんは、どう過ごすのですか?」
マリアは七達に聞いた。
「「私達は買い出しです」」
五と六は同時に言った。寸分のズレがないしゃべり方に、マリアは驚いた。七はいつもの事だ、と言い、
「俺は適当に時間を潰しているか…」
と呟き、七は歩き出した。マリアは特にやる事がないので、シーフに付いて行くことにした。
マリアは歩きつつ、辺りを見渡している。シーフは呆れたように、
「怪しまれるだろ」
と、マリアに言った。
「あ、すみません」
マリアは慌てて言った。
「こうやって、あまり外に出たことがないので」
「外に?」
「はい…私の父は心配性なので、小さい頃から、あまり家からは出してはくれませんでした」
マリアは少し悲しそうな顔をした。貴族は自分の子に過保護な所がある。確かに、金持ちの子は何かと犯罪に巻き込まれやすい。
(分かってはいるけど…)
マリアは思ったが、口にする事はなかった。言った所で、何も変わらないからだ。
「…なる程な」
シーフはそう言うと、不意に近くの店に入った。中は置物や絵画など美術品がある。
「ようこそ、おいで下さいやした」
商人の身なりをした男が、シーフとマリアに笑顔で近付いてきた。
「繁盛してるか?」
「ヘい、お陰様で」
「…そうか…」
シーフはそう言うと声を落として、
「問題ないな」
と聞いた。すると商人は笑顔を収め、
「問題ありやせん」
と言った。マリアはどういう意味か気になったので、シーフに聞いてみた。シーフはあぁ、と言い、
「コイツは十だ」
と言った。マリアはえっ、と言い驚いた。
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