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洞窟内だと光が入ってくる場所が限られるので、今が昼なのか夜なのか、分からなくなる時がある。マリアが目を覚ました時、ランプの火が消えていた。それでも、何とか部屋内を確認する事ができる。部屋の扉を開けると通路の先が明るい。どうやら朝らしい。通路を抜け、昨夜頼み事した場所を覗いてみるとシーフ達がいた。
「おはようございます」
マリアに気付いた六が声をかけてきた。
「おはようございます、六さん」
「昨日はよく眠れましたか?」
「はい、お陰様で」
「そうですか」
その時、七と五が料理を持ってきた。朝食らしい。
「おう、嬢ちゃん。起きてたのか」
「…嬢ちゃん?…私のことですか?」
マリアは自分を指さした。
「当たり前だろ、他に誰がいるんだ?」
七はそう言いつつ料理を置いてゆく。
その料理を見てマリアは内心驚いた。
(これが…料理…)
何かを炒めたような料理みたいだが、色がおかしい。何となく、危険な色をしている。
「諦めて下さい」
横から六が声を掛ける。
「私達の中に料理ができる人はいません。期待はしないで下さい」
マリアは苦笑いをした。
「シーフ様、今日はいかがなさいますか?」
朝食をとり、軽く一服しているとき壱がシーフに聞いた。
「城下町に行く。金は貯まったからな」
「畏まりました」
「参は見張りをしていろ」
それを聞いた参は、少しだけ残念そうな顔をした。
「留守番よろしくな、参」
七は愉快そうに笑った。
「城下町に何をしに行くのですか?」
マリアはシーフに尋ねた。
「やることは二つ」
シーフはぴん、と指を立てる。
「一つは食糧調達…もう一つは撒き」
「…撒き?」
「付いてこれば分かる」
それだけを言うと、シーフは席を立った。
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