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“ドドドン”
何かがぶつかったような鈍い音がした。
目を開けてみると、倒れている3頭の虎が目に入った。
どうやら互いに頭をぶつけ合い、気絶したようだ。
(あぶねぇ、あぶねぇ。スタン・グレネード、持ってきといて良かったぁ。)
こんな非常事態に備え、色々と用意していたのだ。
おれは杏子の居場所をコンピューターに検索させてる間、役に立ちそうな道具のデータを拾い集め、SRWに入る時に一緒に持ってこれるよう、少しばかしプログラムをいじった。
もちろん、これは不正行為だが、非常事態だ。
ためらっている場合ではなかった。
ちなみにスタン・グレネードのデータは、第二次世界大戦の世界からとってきた。
おれはしばらく目がチカチカして耳がキーンとしていた。
(こりゃぁ、便利な道具だけど、あまり使いたくないな…。)
しかし、ここで目と耳が治るのを待ってる時間はない。
さっきの音で、仲間が駆けつけてくるかもしれないし、何よりも杏子の身が心配だからだ。
すぐに立ち上がり、近くにあった石の上に登って辺りを見渡した。
すると、森の中に古ぼけた小屋が建っているのを、見つけ出した。
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