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杏子は申し訳なさそうに言った。
その事をおれはすっかり忘れていた。
杏子は丸1日SRW内にいたため、ずっと飲まず食わずだったのだ。
「家で食べてきて良かったのに。」
「…仁に早く話したかったの…。」
杏子は目を横にそらしながら呟いた。
「そ、そっかぁ…。…ちょっと待ってろ。今お菓子かなんか持ってくるからさ。」
おれは家にあるお菓子をかき集め、麦茶と一緒に自分の部屋に持って行った。
「ありがとう…!じゃあ…、食べながら話させてもらうわね。」
「うん、わかったよ。ゆっくりでいいからな。」
杏子はお煎餅を一枚食べ、お茶を一口飲んでから、早口で話し始めた。
「順を追って話すわね。
私は昨日、家に帰ってからすぐにSRWに入ったわ。
もちろん、戦国時代の世界に…。
だけど、着いた場所はメルヘンの世界だった…。
私が戸惑っていると、アヒルが話しかけてきたわ。
アヒルは言ったの。
『アンタ何で忍者の格好してるのよ』…って。
私は何も言わなかったわ。
そしたら、いきなりアヒルがガーガーしか喋らなくなって、街の方に走り去っていったのよ。」
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