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「今日泊まってくのー?」
台所から、間延びした声が聞こえた。
「んー、どうしよっかな」
テレビのリモコンをかちかちといじっては、あまり面白そうな番組がやってないことにため息を吐いて、わたしは答える。
時計を見た。
なるほど、そろそろ終電なのか。
「まだ考え中です」
「早く決めないと、また終電乗れないよ?」
台所からコイが顔を出して、呆れたような顔をした。
そうだった。一昨日もこんな感じのやり取りをしていて、結局終電の時間を過ぎてしまったんだ。
とは言え、動きたくないのである。
なんかもーイロイロとめんどくさいのである。
あー……このまま寝てしまおうか。
「そんなこと言われてもさぁ」
自分でも笑いそうなくらい、わたしは情けない声を出して言った。
「動きたくなーい」
ごろん、とソファーに寝そべる。
このまま、まどろみに落ちていけそうな気がした。
と、そのとき。
「こらー、寝るなー」
いい感じにまぶたが重くなってきた頃、手をメガホン代わりにしたコイに注意される。
「うにゃ」
なんだよー。せっかく人が寝ようとしてんのに。
わたしは声の方に顔を上げると、思いっきり不機嫌面を作って、コイを睨んだ。
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