終章

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 ならば、考えれば良いのだ、と思った。  どうして、教師の仕事がこんな空虚を抱えるようなものになってしまったのか。  その答えを求めてみようか、と。  そうして、今。  柚木は学校の前のコンビニ駐車場にいた。  怪我は癒えたが、事後始末というヤツである。  柚木が教え子の保護者に刺されたということは、もう学校の管理職には伝えてあった。  柚木の今の赴任先の保護者ではないものの、その事実に、管理職は危機感を持ったらしい。  保護者に刺されるなどあってはならない、と。  電話で報告をする柚木に、そう言い放ってくれたのだ。  あってはならないも何も、柚木は巻き込まれた方なのだ。  友人を刺そうとしていたから、庇ったに過ぎない。  そもそもおかしいのは、どう見ても新見じゅえるの母親の方だった。  自分の子どもの担任をしていた教師全てに探偵を付けてその行動を探っていたなど、警察から事実を聞いた時はぞっとした。
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