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柚木は、譲る気はなかった。
「外聞が悪い」と言われるかもしれないが、「自分は悪くない」と言うことを、伝えていこうと思っていた。
もしかしたら、今の仕事を失うのかもしれない。
けれど、自分の心や誠実さを曲げてまで続ける意味はない、と静養している間に決めたのだ。
「教師だから」と言って、全てのことを飲み込むことも、耐えることもしなくて良いのだ。
嫌なものは嫌だと、理不尽なものは理不尽だと、声に出す。
新見じゅえるの母親は―今は、心神喪失になっていると言う。
もし千華子が刺されていたら、多分、それ以上彼女に責を追わせるようなことはしないだろう。
でも、だからこそ、なのだ。
自分のような人間が、声を出して言う。
保護者だからとか、教師だからとか関係なく。
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