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「見事に叩かれているな」
テレビを見ながら、男が言った。
宝は、ベッドに座ったまま、ミネラルウオーターで喉を潤しつつ、テレビの画面に目を向けた。
今週の初め、千華子がテレビ局の取材に応じて出した短いコメントは、そのテレビ局では、目玉証言として報道された。
「ついに謎の事件の証言が取れた!」と。
だが、しかし。
流された千華子の証言はとても短く、真っ当すぎるぐらい真っ当なものだった。
狂気じみた物を―野次馬根性で面白がって期待していた視聴者達は、テレビ局を責めた。
それこそ誇大広告だ、視聴者をバカにしているのか、と。
そうして。
事態は千華子が望んでいたものとは、別の方向へと向かい始めてしまった。
曰く、テレビの誇大した報道問題とか。
視聴率を取るための、捏造とか。
そう言った問題の方へと視聴者の意識は向かっていった。
結局千華子の証言を報道したテレビ局が謝罪して、それが今日の朝テレビで流れていた。
「これ、わざとか?」
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