7 |未来《ねがい》

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 そして、本当は自分の母親に助けて欲しかったのに、千華子に助けを求めた、新見じゅえるの気持ちも。  ただわかるのは、テレビが伝える「繁華街のホテルで人を刺した女性が、心神喪失の状態で話ができない」という事と、田村に教えてもらった、『もう、新見じゅえるの霊は、この世にはいない』ということだけだった。 「病室に来た刑事さんが言っていたんだけど……新見さん―じゅえるさん、殺人の容疑が出ていたんですって。千華ちゃん、知ってた?」 「いえ……」  本当は、知っていた。  けれど、まさか柚木にあの時のことを話すわけにもいかず、千華子は首を振る。
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