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裏の出入り口付近は、仕入れのトラックが止まる場所なので、客の車は止められない。
しかも、表通りの国道ではなく、細い路地に面しているので、あまり目立たない。
さらに言えば、車で店の駐車場に出入りするときに必ず通り過ぎる場所なので、「ああ、この店はわざわざ祭壇を作っているんだな」ぐらいは、客に認識されそうだった。
千華子は近くにあったバケツに、店長から渡された花を入れると、それを持って裏の出入り口へと移動した。
夏の日差しは強く、ちょっと歩いただけでも汗が出てくる。
千華子はバケツを裏の出入り口近くに置くと、流れ出る額の汗を、腕で拭った。
「やっかいだな」
そして、どの辺に置こうかと思った時だった。
まるで、今の千華子の気持ちを代弁するかのように、男の声が聞こえた。
はっとなって、千華子が声をした方を見ると、スーツを着た、千華子より少しだけ若そうな男が一人、立っていた。
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