7 |未来《ねがい》

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「まったく、自己陶酔の塊だな。この花束は」  葬式の帰りなのだろうか。  真っ黒なスーツの上着を、肩越しに持っていた男は、千華子のすぐ足元にある、バケツを見ながら言った。 「そう思わないか?」 「えっ?」  そうして顔を挙げ、千華子に同意を求めるように言葉を続ける。 「だって、そうだろう? ここに花を供えた奴らは、殺された子ども(ガキ)が生きていたころは、絶対に係わろうとしなかったぜ。だが、報道されたとたん、手の平を返したように、花を供えだす。まあ、実際に関わるのと違って、花を持ってくるだけだからな。簡単なものさ。そして、それで満足する。『自分はいいヤツだ』ってな」 「……」 「そのくせ、自分の『善意』がちゃんと扱われないと、怒るからな。花をそのまんま放置したら、絶対文句言ってくるよな。『せっかく供えたのに』ってさ」
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