君に笑って

2/2
前へ
/234ページ
次へ
「さいきん太った?」 むっ、と口を尖らしてこっちを睨んできた 気にしているらしい 「うっせー」 「口がわるい」 「ばか」 ふい、と反対方向を向いて大好きな釣り雑誌を読み始めちゃった 多分もう口きいてくれないんだろうななんて思いながら「葵くん」って呼んでみるけどやっぱ無反応でちょっと猫背な背中がやけにかわいく思えた 「ふふっ」 そんな後ろ姿も数分もすれば俺に寄っかかってくるんだろうななんて想像しながら一口チョコレートを口のなかに放り込んだ 「おれもー」 「あ、また食べると太るよ?」 「太ったっていいもん、ぽっちゃりしてるくらいがかわいーだろ?」 「ひらきなおった…。あんたは女の子か」 女の子より何倍もかわいいあなただけどね 「ダイエット手伝って?」 「夜の?」 「ちげーよばか」 「えー」 「走んの」 そしたら夜の運動もいいからさ なんて笑うあなたは妖艶で やっぱすげー愛しいんだよな (ダイエット付き合うから太ってよね) .
/234ページ

最初のコメントを投稿しよう!

729人が本棚に入れています
本棚に追加