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一行はなんとかクロスティーニ学園に戻り、依頼主であるパーネ先生に報告しに行った。
「失礼しまーす!」
職員室に入ると、すぐにパーネ先生が出迎えた。
「あら、皆さん。私の依頼は……。」
「これ……ですよね?」
カンナが持ち帰ってきた『世界秘宝大全集』を手渡した。
「ありがとうございます。皆さんならできると信じてました。」
感謝の言葉を述べ、パーネが本に触れると……
「……ッ!!」
パーネの手に電撃が走った。
「えっ!?なんで?あたしが持っててもなんともなかったのに……。」
「シェイド、何かして」
「ねーよ!何かしたところで何の得になるんだよ!」
「まあまあ、皆さん、下がっていてください。この本にかけられた呪いを解きます。」
いつものように始まりかけた二人のケンカを制して、パーネは呪文を唱え始めた。聖術が専門であるから、可能かもしれない。
パーネの身体が白く輝く。
光がおさまると、何事もなかったようにパーネは本を持って立っていた。
「先生……、どうですか?」
「ダメです。どうやらこの本は私を持ち主とは認めてくれなかったようです……。でも、あなた達に危害がなくて本当によかった……。」
「あの……、先生……」
「いえ、いいんです。はい、これが今回の報酬です。また何かあったら手伝ってくださいね。」
パーネはロザリオをカンナに手渡すと、本を持って行ってしまった。
一行もひとまず用は済んだので、道中で倒した魔法生物が落としたフラスコを、研究に必要なので欲しがっていた、教頭のヴェーゼ先生に渡してから職員室を出た。
「あの本、どうしてパーネ先生を認めなかったのかしら……?」
寮に戻る途中、シュラインがつぶやいた。
「さあな。もしかして、先生、清らかすぎて本が似合わなかったからとか……!」
「いや、それはないだろう。」
「なんだよ、シェイド、夢がねぇな……。」
「でも、確かに気になりますよね。なんでボク達は全員平気だったのにパーネ先生は……。」
「まあ、気にしても仕方ないでしょ?ちょっと消化不良だけどね。」
そしてちょっとした気掛かりを残してクエストは終了した。
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