ヴォローネのお願い

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「でも、受けるって言っちゃったし、多分……あの人、もう先にカッサータに行ってるわよ?」 「だから何だよ。」 「……ったく薄情な……。」 「もういっそのことさ、隣のクラスの……メリファ達に押し付ければいいじゃん。」 「それはダメよ。あいつらクエスト中で今校内にいないから。」 「使えないな~、もう!」 チルルが大きなため息をつく。 「私が勝手に依頼受けちゃったのが悪かったですよね……。すみません……。」 「シュラインのせいじゃないよ。」 「そうさ。あんなヤツが依頼主でなければ俺だって協力する。」 チルルとシェイドがここまで猛反対するのにはワケがある。 依頼主のヴォローネがこの学園の生徒ではなく、盗賊であるのは先に出たが、問題はそれ以前に態度にある。チャラい口調で『上から』モノを頼むその態度が気に食わないのである。 エルフとドワーフは犬猿の仲、とも言うくらいだ。チルルが生理的に受け付けられないのも仕方ない。 そしてシェイドもエルフである以上、一族の血に誇りがある。にも関わらず、同族であんな輩がいては一族としては恥である。そんなわけで心底ヴォローネを認めていない。もっとも、シェイドの性格もエルフとしてはいかがなものかという気がしなくもないが。 「……なあ、カンナ。無理に行きたくないってのを連れてくこたぁないんじゃねーか?」 「そうですよ!」 「う~ん、そうかもね……。二人とも、どーしても来てくれない?」 「「嫌だ。」」 いつもは仲の悪い二人が妙に意気投合している。カンナも呆れてため息をつく。 「わかったわ。今回はあたし達だけで行くから……。」 「はーい!頑張ってねー。」 「すまないな。俺の好みの問題で……。」 そして現在に至る。
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