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「つかさ、山ン中だと火でクマは追い払うらしいじゃん?その作戦でよくね?」
「暑苦しくてやってらんないわ!!」
仕方ないので地道に倒す。それほど苦労なくグリズリーを処分できたが、おそらく近くに巣があり、そこにはもっといるはずだ。
「そうだ、ヴォローネは!?」
「確かあっちの方に……。」
「よし!追いかけよう!」
一同が走りだそうとしたその時、
「わ……目の前が回る回……る……」
ついにシュラインの体力に限界が来てしまった。
「シュライン!大丈夫!?」
返事がない。ただの屍……ではない。気絶しただけだが、早くどうにかしないと本当に屍になりかねない。
「エスト!シュラインを連れて村に戻って!」
「わかりました!……でも、二人で大丈夫ですか?」
「あたし達は問題ないわ!早く!」
まさかの非常事態。エストが倒れたシュラインを抱え上げ、元来た道を戻って行った。そして、カンナとヴァズはヴォローネが行った方向へと走った。
行ってみると金髪、トラ柄のフェルパーの少女がピンクグリズリーの集団に囲まれていた。
「うわああっ!くんな!ウチ、全っ然ウマないで!」
これまたなにやら特徴的な口調である。
そばにはヴォローネもいる。ということはあれが彼女の相方、パスタだろう。
「マズイぞ、あれ……。」
ヴァズが呟く。と、フェルパーの少女がこちらに気付いた。
「あ、自分ら学園の生徒?何か武器持っとったら貸してくれへん?」
「え?……わかった!」
カンナが使っていない短剣を投げて渡した。
「あ、返さなくていいから!どーせ使わないし。」
補足付き。
少女は短剣を受け取ると、それを巧みに扱い、次々とグリズリー達を倒していった。なかなか腕は立つようだ。
「ハァッ……ハアッ……、あ、危ないとこやったわ……。」
「私がこの手伝いを呼んだんだかんね。感謝しなさいよ。てか、あんたマジしぶとくね?」
「アホか、ウチを誰やと思っとるんや。……いやー、でもホンマ危機一髪やったな。自分らも、助こうたわ。お礼言うとく!」
「それじゃ、依頼はこれで終わり。次、会う時は盗賊として遠慮なく襲わせてもらうかんね?」
「ほなな!」
一通り礼を述べると、二人は去っていった。
「とりあえず、依頼は完了ね……。」
「おう。よし、さっさと村に戻ってシュラインの看病だ!」
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