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ある日の保健室--
「失礼しま~す!」
カンナが若干(?)上機嫌でやってきた。全身に無数の傷ができている。
「あなた、また不良を制裁してきたんですか?もうどっちが不良だかわかりませんよ……?」
ガレノス先生が半ば呆れた様子で迎えた。クロスティーニ学園始まって史上究極のサボリ魔と称されるシェイドに負けず劣らずカンナも保健室の常連客となっている。サボリで来ている訳ではないし、事実怪我をして来ている訳で、問題なのは他の生徒に比べその怪我がハンパないということである。
「これだけ働ければ先生も給料上がるでしょ?」
「そういう問題じゃないでしょう……。」
一応怪我人の手当てはする。そういう職業だから仕方ない。
「先生!おい~っす!……げっ、カンナ!」
聞き覚えのある声と共にこれまたバハムーンの怪我人がやってきた。ヴァズだ。
「あら、あんたどーしたの?全身の筋肉痛はもう大丈夫なの?」
「あ……ああ。なんとかな。えと……これは……」
「どうせ盗んだバイクで走り出して事故ったんじゃないですか?あなた方ぐらいの不良なら誰でもやりますよ……キシシシシ……。」
今時いないだろ。
しかし、どうやら図星らしい。
「ヴァズ?あんた、不良やめるって言ったわよね?それで未だにそんな不良なら誰でもやるようなことしてんの!?」
「ひいっ、お許しを!!」
「その辺にしといてやれ、カンナ。」
カンナが椅子から立ち上がり指を鳴らしてヴァズに上から目線で迫る。背後に鬼のような何かが見える。
とそれをこれまた聞き覚えのある声が制止した。ベッドに寝転がって、何やら怪しい書物越しにシェイドが様子を見ていた。彼の場合、例のごとくサボリでここにいる。
「起きてたんですか?もうとっくに放課後ですよ。」
「どうせ授業出る気ないし。構わない。」
「つーか、シェイド……、いたの?」
「何だ。いたら悪いのか。」
……でじゃぶ?チルルはいないが。
「どうやら先生も俺を持て余したらしい。教わる立場どころか教える立場。もっと言えば授業も出なくていい、とさ。」
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