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以前校長先生のおつかいで訪れたジェラートタウン。ここに『魔女の森』の入口はあった。
前に来たときは通行許可が下りていなかったため、立ち入ることはできなかった。
確かに気軽に来たいと思うような所ではない。当然だが。
初めの森なんかとは比較にならないほど深い。行けども行けども森が広がる。しかも薄暗く、鬱蒼としている。
どこまで進んでも同じ場所のように見える……実際ターンエリアでいつの間にか方向を見失って同じ場所を何度も歩いてはいるのだが。
トラップはターンエリアだけではない。無条件に魔法を封じるアンチスペルゾーンやら、地面に電流が流されたショック床やら、なかなか先に進めない。しかも
「……カンナちゃん、今私達どこにいるの?」
「……わかんない。」
「ここ、さっきも通りませんでしたか……?」
「多分。」
一同はしっかり道に迷っていた。
そういえばその『世界秘宝大全集』とやらが具体的にどこにあるのか知らされていない。運が良ければとりあえず巡り会えるはず。しかし、出口に関してもそうとは限らない。ずっとこんな時間帯もわからなくなるほど薄暗い森に篭っていたらおかしくなる……。
「魔力も残しておけるか自信ない……。その辺りは自分達で考えてくれ。」
ショック床からのダメージ、トラップ回避……と魔法の使用頻度も高い。考えも無しに使い続けていたらあっという間にからっぽになる。
「なぁ……、一回出てもっかい来た方がいいんじゃね?」
「何?ヴァズ、ビビってんの?」
「ちっ……ちげーよ!!ただ……その方が安全だし……」
「あ、そうだ。一度行った場所ならいつでも地図作れるぜ。一応魔法だからあんまあてにしてほしくないが。」
「……一応覚えておくわ。」
そしてまた黙々と歩く。
どれくらい歩いただろうか。
どのみち、この鬱蒼とした森に空から光などささない。というか、無理。
どれだけ経っても明るくも暗くもならない。時間の感覚はとっくに正確でなくなっている。
「あ~、もう、疲れた。」
「うっさいバカ犬。疲れが伝染する。」
「何よ!」
「いちいちケンカしない、ソコ!」
痴話喧嘩を鎮めるカンナの声にもいつものハリがない。
「まあまあ、『ケンカするほど仲がいい』っていいますし……。あっ!何かありますよ!」
エストが何かを発見した。
「おっ!出口か!?」
「あっ、ヴァズ!気をつけないと……」
「ぎにゃああああ!!」
ショックゾーンに引っ掛かった。
「……ったくこのバカは……。」
シェイドの回復魔法と、カンナの怒りの拳をいただいたそうだ。
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