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森の奥深くにその場所はあった。
ブルスケッタの生徒が教えてくれたのは、カッサータ砂漠へ通じるセミフレッド村に通じる出口に近くの、一面宝石がちりばめられた、木々が作り出した天然の一室だった。
「すごーい!こんなとこがあったんだ!」
再び数々のトラップに苦しめられてきたのが嘘のようにチルルがはしゃぎ出した。
「ホントにきれい……。いかにも『秘宝』って感じが……。」
部屋の中央には台座が、そしてその上には一冊の本。
「おっ、あれが世界秘宝なんとかってヤツか!?」
ヴァズが駆け寄り、本を手に取ろうとした。
その時、
「あれれ?宝石が動いてる!」
「どうしたんです?……うわあ!」
「ヴァズ、うしろー!!」
本を守るように、宝石達が一つの生き物のように集まって動きだした!
そして手初めにヴァズを狙う。
「な……、なんじゃこりゃああぁぁ!!」
慌てて身をかわし、武器を構えた。
「こいつはまた硬そうね……。」
「斬れそうか?」
「微妙ね。あたしとヴァズはブレスがメインの方がいいかしら。あとはチルルとエストに殴らせるから、援護を頼むわ!」
「任せろ!」
シュラインが歌魔法でステータスを高め、それを受けてチルルが襲い来る宝石に切り掛かる。
「てやっ!」
勢いよく剣を振り下ろすも、相手には傷一つついていない。流石、素材が違う。
「硬いよ!斬れないよ!」
「泣き言言うなバカ犬!これならどうだ?『ファイガン』!」
炎の魔法が炸裂する。
しかし、大して効果がない。
「効かないか。やはり材質が」
「そうじゃない!今はそうじゃない!!」
「火力が足りねぇんじゃねーの?俺らもやるぜ!」
「そうね、一点に熱を集めてそこをつけば……」
「あの……。ここ、一応森の中ですよね?あんまり火を使うとここ、灰になる気がするんですが……私だけですか?」
シュラインが突っ込む。確かに、言われてみればそうだ。大体どこでも共通ではあるが、特に今いる空間はかなり狭い。下手に広がっては戦えないし、範囲の広い魔法もあまり使えない。
「じゃあどうしたら……おわっ!!」
そして相手には意思はない。あるとしたら、『世界秘宝大全集』を守る。邪魔する敵を排除する、そんなところか。
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