事件

2/3
前へ
/332ページ
次へ
「―――ああ、予定通り頼む」  そこは俺の相棒が居る部屋。中で何やら電話をしているようだが、俺は迷わず入った。 「おい要(かなめ)、電話終わったら話あるぁ!」 「よろしく頼む。……なんだよコウ、五月蝿いぞ」  相棒のコイツの名は相賀 要。不機嫌に膨らんでいる。一応上司なのだが、要はそういう上下関係が嫌いらしく、相棒として接してくれている。  それだけが理由ではないが。 「まぁそんな膨れんなよォ。シアンからの報告だ、また起きたぜ。例の『人斬り』事件」  それを聞いた要はフゥとため息を吐き、背もたれに深く沈み込む。 「またか……。今回もまたあの人の近くの人がやられたのか?」 「みたいだ。目撃証言もいつもと同じ」  例の『人斬り』事件とは、ある国会議員の周りの人物が次々と殺されているという事件だ。死因は刃物による殺傷。そして全身を骨まで燃やす死体遺棄法。  骨まで灰になるならなぜ殺人が起きたとわかるか。……写るのだ、道路に、人形の黒い焼け焦げた跡が。
/332ページ

最初のコメントを投稿しよう!

234人が本棚に入れています
本棚に追加