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「おいおい……てめぇいつまで逃げるつもりなんだよ?一度死んだら済むんだぜ」
いよいよ逃げ場のない路地裏まで追い詰められてしまった。
「死ぬのって結構キツイんですけど」
「お前の事情なんて知ったこっちゃねぇよ!!」
大振りで殴り掛かってはくるが、大振りというにはあまりにも無防備で攻撃:防御の比率が10:0といっても過言でないくらい、相手を殺すのに特化したものだった。
「うわあぁっととと」
避けきれないというのが難しい話だ。つまり簡単に避けて相手の身体の隙間をくぐり抜けなんとか脱出成功。
「クソ。ちょこまかと」
壁を破壊する程の一発だ。拳に異常が見られるだろうが関係ないだろう。
別に痛覚がないわけではない。
「一体なんでこうなっちゃったんだよ……」
彼は不死身なのだ。
いや、正確には彼らは不死身なのだ。
いやいや、もっと正確には俺以外みんな不死身なのだ。
どうしてそれが分かるのかって?
そりゃあそれは俺が願った事だったから。
夢に出てきた神様とやらに願った。
『みんながこのまま変わらずにいられますように』
その次の日からこの世界の人々に死者は出ていない。
歳を取らない。
倫理が音を立てて崩れ始めた。
ただこの願いには条件がある。
それは願った者の生。
不思議だろ?どうやら俺だけが不死身じゃないようだ。
逃げ続けられるのか、俺に。
逃げ続ける必要なんてあるのか……俺に。
と、不良から逃れ路地裏から出てくると、突然エンジン全開の車が俺に突っ込んできた。
中の人はどうやら随分と酔っ払ってるように見えた。
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