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俺は豆だ。今日俺は人生を賭けた決闘(バトル)を呑気にかちゃかちゃとお箸を鳴らす鼻水小僧とすることになる。
「ハンバーグいただきまーす」
今日の俺の仲間はハンバーグ先輩にきゅうり師匠達にキャベツ先輩達にとうもろこし騎士団だ。
「美味しい」
ハンバーグ先輩はあっさりやられた。まぁ彼は仕方ないだろう。メインディッシュなのだ。
クソッ。本来なら俺が最初の餌食になるはずなのに、学のない餓鬼がなめやがって。
「野菜はドレッシングかけて食べよっと」
ぷあっ!?おぷっ!?きたねぇもんかけんじゃねぇっ!!そうやって俺達の動きを鈍らそうってのか!!卑怯だぞ!!
「うまうま」
ああっ!きゅうり師匠の皆!!キャベツ先輩の皆!!俺達を置いていかないで下さい!!
……俺達の力なんてこんなものなのか……。奴に一泡も吹かせられないまま人生を終えてしまうのか……?
残ったのは、騎士団と俺達の少人数だけとなった。
奴のお箸が俺達の頭上で巧みな動きを見せる。まるで俺達を葬る事など造作もないと言わんばかりに。
うわーん!!
騎士団の一人が、死刑台へと送られた。あの北海道の厳しい環境に耐え抜いた騎士団がこうもあっさりと……。
助けてくれー!!
また一人。
無念じゃーー!!
そしてまた一人。
「……ふぅ。食べ終えた」
奴は騎士団を全てたいらげてしまった。奴は巧みに騎士団の窪んだ所を掴みやがった。敗因はそれだろう。
こいつ……出来るっ!!
だが俺達はそうはいかん。
奴の動きは既に見切ってある。
しかも、俺達には窪みがない。
つまり、負ける要素がない。
かい潜ってやる。奴が力尽きるまで……永遠に。仲間に見せつけてやる。その眼に焼き付けさせてやる。俺達の勇ましい姿を。勇ましい姿をぉぉぉっっ!!
来いやぁぁっっ!!!!
その面を俺達のつるっつるさで苦痛に歪めてやんよぉぉぉぉぉぉっっ!!!
「ママー。僕豆嫌いだから捨てるねー」
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