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一線。
迷いの無い、真っ直ぐで気持ちの篭ったいい太刀筋だ。
己の手首が紅の飛沫を飛ばしながら
弧を描き、飛んでいく様を目で追いながら、荒巻は思った。
/ ,' 3 「ほほほ…死体に紛れて気配を絶ち、
わしが油断をするのを待っておったか」
宙を舞う右手首を左手で受け取り、
ハンカチで包みながら荒巻は自分に切りかかった者に呟く。
/ ,' 3 「すっかり全員死んだものだと思って油断しておった
これも一線を退いておった弊害かのう…ほっほっ
いや、そう緊張するでないぞ?
わしは怒りより驚き、そして褒めたい気持ちでいっぱいじゃ」
/ ,' 3 「死を装い、死体に紛れ機を狙うセンス、
そして何より本気で相手を殺しにかかるあの気概
あの一太刀は中々だせるものじゃないからのう
並みの使い手なら、剣に戸惑いが映ったはずじゃ」
/ ,' 3 「のう?5年生剣道部内藤くん?」
( ^ω^)「……」
対峙する内藤は、荒巻の会話には応えず
無言の内に、剣先についた血糊を制服でふき取り、新たに構えに入る。
/ ,' 3 「ほっほっほっ…シカトか
老人は相手にしたくないのかの?
悲しいのう悲しいのう」
( ^ω^)「……」
空の構え。
五年生、10歳ながら名家内藤の跡取り内藤ホライゾンは、
気を剣に移しこむ極意を父から教わっていた。
気とは生、故に強。
/ ,' 3 「流石我が校随一の剣の使い手じゃ……ほっほっ、
しかし何をそれほど怒ってるのじゃ?」
/ ,' 3 「集会中ぶちきれたわしに殴られたから?それとも」
/ ,' 3 「この、わしの足のしたにある小娘が関係あるのかのう?」
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