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「大丈夫?…しっかりして!!」
男性はうっすらと目を開けた。
彼女は慌てながらも、大事に汲んで来た水を少しづつ、口から流し込んでやった。
「…~~~~~。」
何やらわからない言語でまくし立てられた彼女は、キョトンとした眼差しで相手を見つめた。
(……何処の言葉かしら?)
男性はハッとした表情で、時計のような物に何かを入力し始めると、もう一度話し出した。
「助けてくれてありがとう。…君はシェメイデックの人?…僕はシェメイデックに行きたいんだけど…」
自分と同じ言語で急に話し出した男性に、彼女はゆっくり頷いた。
「貴方…何処の国の人なの?」
「僕は日本から来たんだ。…翻訳機を作動するの忘れてたから、さっきは話が分からなかったんだね?」
翻訳機…その言葉に、彼女は唖然とした。
噂では聞いた事があった。
何処の国に行っても話が出来るように、開発された先進国の代物だと。
「僕は和都(かずと)。君の名前は?」
「あたしは…リルフェム=ディアナ=ゼルリュード=セイラメーティよ。」
和都は目をパチクリした後で、ニッコリと微笑んだ。
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