0人が本棚に入れています
本棚に追加
「じゃあリルだね…。」
この発言にはリルフェムのほうが、真っ赤になり反論した。
彼女の住むシェメイデックでは、名前を略して呼ぶのは、『旦那』か『彼氏』だけなのである。
「Σなっ!!…旦那でも彼氏でもないのに…何でそんな呼び方されなきゃならないのよっ!!」
「え?…その方が呼びやすいし…!…さては彼氏か旦那さんに誤解されると困るとか?」
リルフェムは真っ赤になって、和都を睨みつけた。
「そんな人居なくて悪かったわねっ!!!……街では…リルフェムって呼んでよね?…それまでは…リル…で良いわ」
正直言えばリルフェム自身、何故この男に名前を教えたのかが、わからないでいた。
何処か惹かれるところを持ち、目が離せないのである。
好きかと聞かれれば『わからない』と言うしかないのだが…。
和都は立ち上がると、水の容器をキャリーバックに括りつけ、残りの二つを手に持つと、リルフェムにキャリーバックを引っ張るように言った。
砂漠の街に合わせてあるのか、キャリーバックとは言え、スキー板のような物が付いていたため、リルフェムでも楽に持つ事が出来た。
最初のコメントを投稿しよう!