砂漠の雨

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「じゃあリルだね…。」 この発言にはリルフェムのほうが、真っ赤になり反論した。 彼女の住むシェメイデックでは、名前を略して呼ぶのは、『旦那』か『彼氏』だけなのである。 「Σなっ!!…旦那でも彼氏でもないのに…何でそんな呼び方されなきゃならないのよっ!!」 「え?…その方が呼びやすいし…!…さては彼氏か旦那さんに誤解されると困るとか?」 リルフェムは真っ赤になって、和都を睨みつけた。 「そんな人居なくて悪かったわねっ!!!……街では…リルフェムって呼んでよね?…それまでは…リル…で良いわ」 正直言えばリルフェム自身、何故この男に名前を教えたのかが、わからないでいた。 何処か惹かれるところを持ち、目が離せないのである。 好きかと聞かれれば『わからない』と言うしかないのだが…。 和都は立ち上がると、水の容器をキャリーバックに括りつけ、残りの二つを手に持つと、リルフェムにキャリーバックを引っ張るように言った。 砂漠の街に合わせてあるのか、キャリーバックとは言え、スキー板のような物が付いていたため、リルフェムでも楽に持つ事が出来た。
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