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「…重いでしょう?代わるわ」
「助けて貰ったお礼だよ。それに女性に重い物は持たせたくないからね。」
仕方なくリルフェムは街に着くまでの間、様々な話をする事にした。
「シェメイデックに何の用なの?」
「…雨を降らせるために来たんだ。」
和都の言葉にリルフェムはクスクスと笑い出した。
「降る訳ないじゃない…もう何年も降ってないのよ?……そりゃ…降って欲しいけど…無理よ。無理だわ。」
「……大丈夫。…必ず雨は降るよ。賭けても良い。」
そこまで言われるとリルフェムも雨を見たくなった。
だが雨など降るはずもないだろう。今までも雨乞いやいろいろな儀式はやったが、無理だったのだから。
「じゃあそこまで言うなら賭けない?…雨が降らなかったら、貴方にはさっさと国に帰って貰うわ。」
「良いよ。…じゃあ雨が降ったら………何して貰おうかな……まだ浮かばないから、決まってからで良い?」
リルフェムは自信ありげに頷いた。
そして二人は漸く、シェメイデックの街に到着した。
シェメイデックの街は小さく、人々は地べたに座り、民芸品を一生懸命作ったりしていた。
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