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やわらかなきおく
突然あらわれる
思い掛けない
きおく
は
いつでも心をくるしめる
ただでさえ
醜い この檻の底で
泥のように
たゆたって居続ける
いつまでも……
まるでびぃ玉みたいだ
夏の日に
小さなポケットから転がり落ちた
びぃ玉みたいだ
ころころころん
転がり落ちる
やわらかな
きおく
目をつぶって
瞳で追って
こころ
で泣いて
ただひとつだけ 違うのは
びぃ玉とは 違うのは
追い掛けて
仮に捕まえることが できたとしても
取り戻せないと いうことだ
失ってしまったと いうことだ
二度と戻っては来やしない
ということだ
ころころころん
転がり落ちる
やわらかな
きおく
ああいっそ
ひと思いに消えてしまえたらいいのに
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