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結果はともかくとして、とりあえずの決着にほっとした。
あたしたちはバカップルを放置して、地下の駐車場へ向かうためにエレベーターに乗っていた。
警備の人たちはいない。
「ねぇ、け……んっ!」
乗り込んで一息ついたところで圭季の名前を呼ぼうとしたら、抱き寄せられて唇をふさがれた。
ちょっと! ここは一応、公共の場! いつだれが乗ってくるのか分からないのに!
だから抵抗したけど、びくともしない。
ヘンタイ椿じゃないんだから勘弁してよ!
肩を二・三度叩いたら、ようやく唇は離してくれた。
「見せつけられたから」
煽られないでよ!
「しばらくは注意が必要だけど、あの様子だと大丈夫だろう」
「一人で外出しても……?」
「うん、いいよ」
ようやくあたしに日常が戻ってくる……?
一人で学校に行けるし、アルバイトにも、遊びも!
「でも、しばらくは学校の送り迎えはさせるから」
そっ、そうね。
いきなりってのはあたしのことだから戸惑いそうだから。
その申し出はありがたかった。
。.。:+* ゚ ゜゚ *+:。.。:+* ゚ ゜゚ *+
橘家に戻ると、圭季に応接間に連れてこられた。
疲れたから部屋に戻って休みたいのにと思いつつ、ついて行くと……。
父と綾子さん、和明さんがいた。
早く結果を知りたくて、待っていたらしい。
圭季がことの顛末を簡潔に説明をした。
「……ということは」
「はい、チョコの身の危険はなくなったとみて問題ないでしょう」
その言葉に綾子さんは涙を浮かべていた。
「チョコちゃん、よく頑張ったわね」
そういってあたしの手をぎゅっと握りしめてくれた。
綾子さんの温もりにじんわりと心が温かくなった。
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