《二話》嵐の前の静けさ

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。.。:+* ゚ ゜゚ *+:。.。:+* ゚ ゜゚ *+  家に帰り、慣れないスーツをまず脱いで、楽な服に着替える。 お化粧は色つきリップしかしてない。  帰りの電車の中、ずっと気が気でなかった。 さっきの男の人が追いかけて来て、またつかまれそうで、ものすごく怖かった。  家に帰りついても、落ち着かなかった。 自室の布団の中に逃げ込んで、ようやく落ち着くことができた。  ……怖かった。 大学ってあんなに怖いところなの? 明日から通うのがとても憂鬱になった。  といっても、行かないわけにもいかなくて。  朝、重い気持ちを抱えたまま、駅へと向かった。 圭季は昨日は帰りが遅かったにもかかわらず、今日も早い時間に会社に出かけたようだ。 父も遅かったみたいだから、新入社員歓迎会でもあったのだろうか。 顔だけでも見たかったのに、それさえもない。 冷蔵庫には私と父のために朝食を用意してくれていた。 涙が出そうになるのを我慢しながら食べた。  朱里と駅で待ち合わせをして連れて行ってもらったから、今日は無事にたどり着けた。 一時限目の教室まで送り届けてくれたけど、絶対にあれは下心もあったと思う。 でもそれくらいがあたしにとってはとても気が楽でいい。  今日は朝の九時から夕方十六時過ぎまでみっちり四時限目まで授業があって疲れた。 意外にサボれそうな授業がなくて、がっかり。 ……いえ、大学には勉強に来ているのですが。 圭季が聞いたら怒りそうだわ。
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