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「義母さんも同じ会社だから、結婚したらなにをされるのか分からないから反対したんだ」
「でも……結局、再婚したんでしょ?」
「ああ。
梨奈の母親と知ったら、反対できなくなった」
ん? 梨奈とは再婚して初めて会ったんじゃあ? 梨奈はそんなことを言っていたような気がするんだけど。
「チョコちゃん、クリスマスパーティーに出席したよね?」
「うん。
出席したけど……あ」
橘製菓が毎年行っている社員を対象にしたクリスマスパーティーを思い出した。
「もしかして……そこで?」
「そう。
そこで梨奈に一目ぼれ」
那津はそれ以来、クリスマスパーティーを毎年、心待ちにしていたらしい。
うわぁ、なんだか妙に那津がかわいく見えてきた!
「父さんもオレも、好きな異性のタイプが似ていたんだよ」
いやぁ、見事に親子そろって……。
「義妹でも側にいられるといいと思ったんだけど、顔を見たら思わず意地悪したくなって」
……そのあたりの思考回路は驚くほど小学生だ。
「だからまあ、そういうことだよっ!」
那津は赤い顔をして、話を切り上げた。
うふふ、那津ってば、ほんと、かーわいっ!
「そういうチョコちゃんこそ、圭季とはうまくいってるのかよ?」
質問しようかと思ったら、那津は矛先を変えてきた。
「そっ、それなりにっ」
春休み中、べたべたいちゃいちゃ……と言いたいところだけど、残念ながら圭季は入社準備に忙しかったし、あたしも準備があったからあまりかまってもらえなかったというのが実情なのだ。
悔しいからそれは言わない。
「チョコちゃんがそういうのならいいんだけど。
圭季の様子がおかしいから二人の間になにかあったのかと思ったんだけど、大丈夫だよね?」
圭季の様子がおかしい? そうだっけ?
「圭季、いつも通りだったけど? 仕事が大変だから?」
というものの改めて思い返してみると、ここ数日、落ち着きがなかったような気がしないでもない。
だけどそれは入社前で緊張しているのかなと思ったんだけど……。
那津に言われて初めて圭季の様子がおかしかったことに気が付くなんて、彼女として失格?
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