《五十話》二人での外食

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 次の日、約束通りに間宮さんと深見さんにお菓子を作って持って行った。  間宮さんはダイエットに適したお菓子なんて無理難題を言ってきたけど、おからとチョコレート、ハチミツで甘みをつけたケーキを作った。 これなら大食いの深見さんのお腹も満足させてくれる……はず。 おからもチョコレートもはちみつも女性にうれしい栄養が入ってるし。  二人に渡すと喜んでくれた。  間宮さんはそれ以来、勧誘してこなくなった。 その代わりにお菓子のリクエストをしてくるようになったけど。 味見係が出来たと喜んでおくことにした。  深見さんからはアドバイスをもらえたりと、良い関係が築けてると思う。 。.。:+* ゚ ゜゚ *+:。.。:+* ゚ ゜゚ *+  学校生活も順調で、アルバイトも慣れてきたし、仲のよい子もできた。 そして肝心な圭季との仲だけど、残念ながら……? 特に進展はないけど維持している。 圭季との仲に関してはもやもやするものがなきにしもあらずだけど、立場を思い出してこれでいいと自分に言い聞かせる日々。  あまりにも穏やかすぎて、自分の立場を忘れてしまいそうになる。 今の状況は異常なはずなのに、慣れてしまえば今までの日常と大差なくなる。  そういえば那津と圭季がうちに泊まり込むようになったときも同じようなことを思ったなと思い出したけど、それと同時にあの頃から随分と遠くに来たなとも思わなくもない。  そんなこんなで周りの人たちに助けられ、表面的には変わりなくあたしは『日常』を送れていた。  そもそもがあたしがどうしてこんな不自由な生活を送っているかというと、橘家と桜家で話し合いの場を持とうとして何度も交渉をしたらしいんだけど、向こうが理由を付けてまったく出てこないらしい。 だから薫子さんにあたしに対して手を出さないようにっていう確約を取れてないからなにがあるか分からなくて、あたしは橘家に引き取られたという経緯があると後から聞かされた。
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