《五十三話》トンデモな結末

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 って。  え?  ……あれ?  圭季と薫子さんってつき合って……いたんだ、よね?  え? えっ?  それが事実だとしたら、どういうこと?  疑問に思って圭季に視線を向けると、じっとあたしを見つめていた。 「あ……の」  ヘンタイ椿が言っていることは事実なの? って聞きたいけど、無粋な質問じゃない?  でも! 気になる! 「卒業式にチョコとキスをしたのが初めてだと言ったら引くか?」  知りたかったことだけど!  け……圭季も初めてだったのっ? 「いっ、今のは無効ですわ」 「どうして?」 「だって……あんなのはキスなんて……んんっ!」  怖くて視線を向けられないけど、なにをしているのかは分かる。 なんて破廉恥な! 「そーいうことで、薫子はオレがもらったから」 「そんな! 圭季、待って!」 「ほら、これを見ろ。 薫子、無理してそこの御曹司と結婚しなくて良くなったんだ」  ヘンタイ椿はそう言いながら、胸元からなにかを取り出して広げた。 「なっ……なんで婚姻届っ」 「うちの両親も、薫子の両親も署名済みだぞ」 「…………」  なんという展開。 「でも……」 「嫌って言うのなら別にいいけど? でも恥ずかしい姿をこんだけの人たちに見られたからなあ」  ちらりとあたしたちに視線を向けてきたヘンタイ椿。 一斉に全員がそっぽを向いたのが分かった。 「ふしだらな女とそこの潔癖お坊ちゃまは結婚する気はないだろうしなあ」 「そんな……! 圭季っ!」  悲鳴を上げる薫子さんに対して圭季は首を振っただけだった。 「俊平とお似合いだよ。お幸せに」  圭季のその言葉はとどめとなったようだ。 薫子さんは力なくうなだれた。  やりすぎだと思うけど、薫子さんのしつこさを思うとこれぐらいやらないと分かってくれないんだろうな。  これでようやく、一段落……? 【つづく】
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