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電車はすぐに閉まって動きだしたけど、なんか変。
先ほど到着した電車はあんなに混んでいたのに、この電車は座席は埋まっているものの、空いている。
おかしいなあと思いながらもぼんやりと窓の外を眺める。
さっきの人、大丈夫かな。
心配して声をかけてくれたのに、かばんで殴っちゃった。
悪いことしちゃったかな。
男の人に慣れたと思っていたのに、それは圭季と那津だからだったんだと初めて知る。
聖マドレーヌ学院大学は共学なので、男の人もいる。
あたしの行く栄養学部は女子が多いようだけど、それでも男子もいる。
栄養学部って女子大学に多いから女子の学部というイメージが強いけど、聖マドレーヌ学院大学は昔から共学で、男子も栄養学を学べる数少ない大学で人気が高いという。
そういえば朱里が言っていたな。
『聖マドレーヌ学院大学の栄養学部の男子のレベルは高いのよ!』
と。
なんのレベルかあまり深く考えなかったんだけど、男子は競争率が高いから頭がいいという意味でのレベルかなぁ。
でも朱里のことだから、見た目のことを言っている可能性も高い。
ぼんやりとしていたんだけど、いつまで経っても電車は大学の最寄り駅を告げない。
そこでようやくあたしは、重大なミスを犯してしまったことに気が付いた。
あわてて車内に掲示してある路線図を見て、とんでもないことをやってしまったことに気が付いた。
反対の電車に乗っちゃった。
時計を見ると、すでに九時を過ぎている。
入学式、始まってるよ!
あたしは焦り、とりあえず到着した駅で降りた。
今度はきちんと大学方面に行く電車であることを確認して乗り込み、大きなため息をついた。
初日からやらかしてしまった。
おっちょこちょいにもほどがある。
入学式に間に合わないけど、とりあえず大学に向かおう。
涙が出そうになったけど、唇をかみしめて我慢した 。
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