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「そうそう、チョコは笑ってなさい。
あなたに悲しい顔は似合わないっ!」
「あの……それってタダのお馬鹿さんなんでは?」
「馬鹿は世界で最強なのよ! あんたの笑顔は最強!」
一生懸命になって励ましてくれている朱里に申し訳なくて、あたしはがんばって笑うことにした。
「さて、行きましょ」
いつも朱里には申し訳ないと思う。
いつか呆れて朱里も離れて行ってしまうのかな。
ああ、今日のあたしはとってもネガティブだ。
こんなんじゃ駄目だ。
「よし、競争しよう!」
あたしは嫌な考えを振り払うように、走りだした。
「チョコ、早速だけど、栄養学部は逆方向だよ!」
大げさにこける真似をしたら、朱里に大笑いされた。
朱里がこっちだよ、と手招きをしてくれたので、走ってそちらへと向かった。
【つづく】
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