スコーンはいかが?

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昨日のドタバタから一転。 今俺たちを包む空気は、緊張感に支配されている。 それは、目の前で笑うこの男のせい。 「ソンミン、といいます。主にランクSの管理をしています。」 営業スマイルだろうか。そう言って笑いながら名刺を渡すその男の表情は、どこか作られたよう。 代表で俺が慌てて受け取れば、ソンミン、と名乗ったその男は鞄から大量の書類を取り出した。 「あの、」 発せられた声のもとは俺の隣のジュンスだった。 ジュンスは不思議そうに首を傾げる。 「あの、チャンミン君はいないんですか?」 「只今、車の中で待機させています。」 ちらりと窓に一旦視線を投げかけてから、ソンミンさんは続ける。 「契約が済み次第、こちらに連れてきますので。」 その言葉に視線を落とせば、規約事項が大量に書かれている書類。 …読み通すだけで数時間はかかるんじゃねぇの? まず、ジェジュンなら面倒くせぇ、と投げ出すだろうし、ユチョンなら難癖つけて逃げ出すだろう。 ジュンスに至っては…… まず、理解をしなさそうだ。 となると、俺がやるしかないのか。 その書類の量に溜め息が出そうになるが、ぐっとこらえて、書類を手に取った。  
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