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会場にはもう終わってから3時間も経っているのにまだファンがいて、結構探しにくかった。
「おいっ‼また来たぜ」
見張りをしていた千冬がそう言ったので、俺らは渋々車に戻ることにした。
…にしてもさっきから千秋の顔色が異常にわりぃ。
「おい、千秋。見つかるから心配すんな?」
俺は見てられなかった。
「ありがと、千夏ちゃん。千春もそんな顔しないで?」
千秋は無理に笑っていた。
千秋は車の中から通り過ぎようとしていた女の子を見ていた。きっと早くいなくなってほしいんだな。
後ろで千冬が少し窓を開けたため、その子の声がかすかに聞こえてきた。
「…ぁ⁉………人違い……⁉」
俺にはそれしか聞こえなかった。けど窓際の千秋と千冬、そして千秋の顔色が変わったのを見てとった千春は車を飛び出していた。
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