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「早く期末試験、来ないかな」
それは激しく同意。
「十位以内に入れる自信はある?」
「うーん。だけど睦貴が教えてくれてるから、大丈夫だよ」
とは言うけど。
高校を卒業して何年経つんだろう。
考えたら憂鬱になってきたのでやめた。
正直、自信はない。
奈津美さんは女子短大卒業らしいけど、他の人はみんな揃って某国立大学卒。
蓮さんに至っては飛び級で大学院まで出てるし、子育てで休学しつつも智鶴さんも同じく飛び級で大学院を出たらしい。
兄貴も深町さんも同じ大学卒。
深町さんなんて兄貴の秘書を勤めながら大学に通っていたらしいから、すごすぎる。
俺もまあ、同じくその某国立大学卒ではある。
「文緒はどこの大学を志望してるんだ?」
「睦貴と同じところ」
文緒なら無理ではなさそうだ。
蓮さんが「ひどかった」といった中間試験を見せてもらったけど、そんなにひどいとは思わなかった。
だけど今までのことを聞くと……いつもよりは悪かった、というだけなんだけどな。
蓮さん、厳しいよな。
あの人は人にも自分にも厳しすぎだ。
もう少し手を抜けばいいのに、と見ていていつも思う。
「文緒は将来、なにになりたい?」
「睦貴のお嫁さん」
いや、そんなかわいらしいことを聞きたかったわけではなくてだな。
抱きしめてキスができないこのもどかしさ!
あああ、ストレスがたまる!
「まさか夢は専業主婦、とか言わないよな?」
それは悪夢すぎる。
文緒は絶望的なまで不器用なのだ。
専業主婦なんてやめてくれ。
「専業主婦にはあこがれないなぁ。だって私のまわり、だれひとりとして専業主婦なんていないから、想像もつかないよ」
そうだよな。
智鶴さんもモデル兼会計士みたいなことやってるし、奈津美さんなんてブライダル関係の会社の社長だし、深町さんの奥さんの彼方さんだってなにか仕事をしていたはずだ。
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