馬鹿は死んでも治らない!?

15/72
前へ
/1008ページ
次へ
 会社に帰ろうとしたら、兄貴から電話がかかってきた。 『睦貴、今日はもう帰れ』  はい?  なんでいきなり? 『蓮と奈津美が来てるから、ふたりにおまえの代わりをさせる』  ちょ、ちょっとお待ちください!  俺、なに首!? 「兄貴! ちょっと待てよ」 『最近、少し顔色悪いからな。明日のパーティで倒れられたら困る。帰ってゆっくり休め』  首ではないことは分かったが、急にそんなことを言われても困るんだけど。 『睦貴か。なんなら文緒を迎えに行ってくれないか』  急に声が変わって驚き、それが蓮さんだと気がついてさらに驚いた。  蓮さんにそんなお願いをされるとは思わなかったからだ。 『そろそろ授業が終わるはずだ』  時計を見ると十四時半過ぎだった。  なんだ。  それなら早く言ってくれよ。  俺はむなしくひとりで明日の服を選んだじゃないか。  どうせなら文緒と放課後来て、一緒に選びたかった。  がっかりしながら、俺は文緒の高校に車を走らせる。  正門前に着いたのは十五時少し前。  文緒には特に連絡を入れてなかったけど、ここで待っていたら出てくるか。  正門前の邪魔にならないスペースに車をを眺めていた。  しばらく待っていると、文緒と思われる人物が男と一緒に出てきた。  ……男!?  俺は視力二・〇の目を駆使して文緒と思われる人物を凝視する。  俺が文緒を見間違えるはずがない。  あれは間違いなく文緒だ。  文緒は並んで一緒に歩いている男と楽しそうに話をしている。  ……やばい、ものすごい嫉妬に心臓に穴があきそうだ。  もちろん、心臓には毛が生えている!  こんなことなら来るんじゃなかった。
/1008ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1669人が本棚に入れています
本棚に追加