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なんてメールを打とうかなぁ。
普通に打ってもいいけど、「俺、参上!」でもいいかな。
メール作成画面を開き、俺は悩む。
もうちょっとこうセンスがあれば文緒をくすり、と笑わすことができるんだが。
悩むこと三分ちょっと。
結局、無難な文章に落ち着いてしまった。
ああ、俺って面白みのない男。
メールを送信して、携帯電話フォルダに投げ入れる。
そういえばこれ、文緒がつけたんだよな。
こんなかわいらしいのつけるなよ、と文句は言ったものの、いいじゃないの、と言いながらつけようとして……やっぱり不器用すぎてとんでもないことになりそうだったのを俺が奪ってつけた覚えが。
兄貴はこれを見て、苦笑していた。
『浮気防止だな』
と言っていたけど、意味が分からなかった。
……いまだに分からないんだけど。
そもそも、俺が浮気をするわけないじゃないか!
こんなにも文緒一筋! なのに。
ほんと兄貴ったら失礼しちゃうわ、ぷんぷん。
しかし、日直の仕事ってこんなに時間がかかるものなのか?
さすがにここでボーっと十分も待っていたら飽きてきた。
俺は近くにコインパーキングがあったことを思い出し、そこに車を入れる。
さて、どうする?
ふとコインパーキングの横を見ると、学校への裏口を発見した。
ほー、これは……。
俺はしめた、とばかりにその門に手をかけた。
乾いた金属音を立て、簡単に門は開いた。
お、ラッキー。
学校内部に入り込み、門を一応前のようにしめておく。
さーてと、探索探索。
文緒に学校のことは聞いていたのとグーグル先生の素晴らしい地図で大体の配置は頭に入っている。
うん、俺ってどこまでもストーカー。
えーっと、文緒のいる校舎は……と。
何食わぬ顔をして俺は校舎内に侵入。
先生に見つかったらちょっとやばいかも、というドキドキ感がたまらない。
こういう学校には珍しく、土足のままで入っていい、というのは聞いていたのでそのまま入る。
なんでも上履きはいじめの原因になる、というのが理由らしい。
よくわからないその理論を聞いた時は首を傾げたけど、今はそれが逆にラッキーだった。
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